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『小松左京展ーD計画ー』鑑賞

子供の頃に観た映画、『日本沈没(1973)』や『復活の日(1980)』のインパクトが強く、小松左京というSF作家のことはずっと頭(のどこか)にありました。折よく世田谷文学館で小松左京展が開催されていることから足を運びました。サブタイトルの-D計画-は、『日本沈没』の中で遂行されるプロジェクト名です(DはDisaster)。『日本沈没』に関して小松左京は、地震発生のメカニズムを詳細に検討・解明した上で、実際に日本を沈めるためのエネルギーをキャノーラ計算機で計算するなど丁寧かつ緻密な取り組みをしていました。当時映画館で観た衝撃的なシーンを、現在は地球規模で発生している災害として目の当たりにしているわけですが、これは、(小松左京の)好奇心や想像力に徹底した研究を積み重ねた結果であることが分かりました。同時に小松左京の大切なものたちは、万年筆・眼鏡・酒・たばこ・漫画・猫(の由)微笑ましい自画像もあり親しみを覚えました。また星新一や筒井康隆ら(後のビッグネーム)と共に「日本SF作家クラブ」を設立したところ、宿泊先の旅館で「歓迎SFサッカークラブ様」と書かれたプレートが用意されていたなど(今となっては考えられない)微笑ましいエピソードも紹介されていました。とはいえ、SFとは希望であると述べる小松左京と(小松左京の)作品を通底するDisasterとの関係は改めて考えてみようと思いました。なお世田谷文学館には、社会福祉施設が運営するカフェ「喫茶どんぐり」があります。落ち着いた雰囲気で店員さんのアテンドも良く(毎回)ランチやお茶を楽しんでいます。