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ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド、上杉周作[訳]、関美和[訳] (2019)『FACTFULNESSー10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣ー』読了

私自身、世界を先進国vs発展途上国・人々を富裕層vs中間層vs貧困層というように二分(たは三分)することを通して、世界は分断されている・人々の間に貧富の差があるといった判断をしがちです。これに対して、筆者達(ハンス=父、オーラ=ハンスの息子、アンナ=オーラの妻。なおハンスは、この本の完成を待たず癌で亡くなったそうです)は、客観的なデータと事実に基づいて(私を含めた)多くの人が陥りがちな10の判断(や思い込み)及び10の対応策を具体的に示してくれています。確かに、本能や直感に従うことが有効な場合もあります。しかし、何はともあれファクト・ファインディングをフェアに行うことで、適切に事実認識することの重要性が良く分かりました。また、専門性・高学歴・社会的地位といった要素が、自分(だけ)は正しいというバイアスを形成するという指摘は、肝に銘じようと思います。同時に、数字だけが全てではないというメッセージも腹落ちしました。やや長くなりますが、以下を引用します(出所:247頁)。「数字の裏にある現実、たとえば人々の生活を見せてくれるデータなら喜んで取り入れるというだけだ。仮説を検証するためにデータは必要だが、仮説をどこからひらめくかというと、人と話したり、話を聞いたり、観察したりすることからだ。世界を理解するのに数字は欠かせないけれど、数字いじりだけで引き出された結論は疑ってかかったほうがいい。数字がなければ、世界は理解できない。でも、数字だけでは世界はわからない。」これを会計に引き寄せると次の通りでしょうか。会計がなければビジネスは理解できません。しかし会計から得られる財務情報だけではビジネスは理解はできません。