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減損処理と一括償却

年末の日経の記事「三菱UFJ2000億円特損 インドネシア銀の株価下落」(A ご参照)の中で、ちょっと気になる記載がありました。

A https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53993670Q9A231C1NN1000/ 

それは、「・・減損処理が必要になった。MUFGは・・『のれん』を前倒しで一括償却する」という部分です。一言でいうと、減損処理と一括償却は別物(のはず)、日本基準でも(一括償却ではなく)減損処理するのでは?という疑問です。調べてみたところ、おそらく次の理由で一括償却するようです。すなわち三菱UFJは、(NYSEに上場しているものの)有価証券報告書は日本基準で作成しています。今回は、上場子会社である「インドネシア中堅銀行バンクダナモンの株価が下落し」、単体決算で当該株式の評価減が必要になりました。この場合、連結決算上ののれんも、それに合わせて償却しなければならないと日本基準が定めているためです。とはいえ本件、実質的にはのれんの減損でしょうか。さらに会計処理としても(やや)特殊なので、ASBJが以前から検討しています。ただ今のところ、いつまでにといった具体的な期限は定めていないようです(B Ⅰ2(2)ご参照)B https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/2019_1227.pdf

また三菱UFJは、(有価証券報告書は日本基準で作成しているものの) 米国会計基準に基づくForm20-FSEC(米国証券取引委員会)に提出し、NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場しています。そのため、日本基準と国際的な会計基準との関係や整合性についても注意を払う必要があるように思いました。新年早々、(相変わらず)知らないことばかりであることを思い知らされました。