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のれんの扱い

2020227日付日本経済新聞電子版(添付1ご参照)によれば、IASBのハンス・フーガ―ホースト議長が、のれんの扱いに関するIASB内の議論について、「定期償却を導入する意見に勢いがある」と述べたそうです。加えて、「導入に向けた議論のたたき台となる『ディスカッションペーパー』を3月に公表する見通し。半年にわたり規制当局など関係者から意見を募り、再度導入の採決をする方針」とのことです。具体的なProcedureTimetableが示されたことを興味深く感じました。また同議長は、米国(におけるのれんの扱い)の議論の行方が、「IASBの意思決定に大きな影響を与える」と強調し、「万が一、最終的に米国基準とIFRSが違う方向になれば悲劇的だ」としています。そこで、”FASB Turns Up the Heat on Goodwill Impairment Testing ” by Sandra Peters, CFA Institute, February 12, 2020.(添付2ご参照)を読んでみました。この記事は、米国基準におけるのれんの定期償却再導入反対の立場でした。要旨は次の通りです。確かに、GEKraft Heinzが巨額ののれん減損損失を計上したため、これんの扱いはFASBでも議論の対象。しかし、のれんの、①意義・性質、②金額的重要性、③投資家への情報有用性、④減損テストのコスト&ベネフィットなど理由に(定期償却再導入)反対。なお2018年末時点で、アメリカの上場企業は5.6兆ドルののれんを計上しているそうです。その内、S&P500(アメリカの主要500社)ののれんは3.3兆ドルで、総資産の9%・純資産の41%に相当します。記事の最後には、(同じ2018年末時点で)200億ドル超ののれんを計上する企業名とその金額が紹介されています。ところでアメリカの非上場企業は、10年間の定期償却を認められています(日本基準は、最長20年間の定期償却+減損です)。こういった点も念頭に置きつつ、議論をフォローしたいと思います。

添付1https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56149120X20C20A2DTA000/

添付2https://www.cfo.com/accounting-tax/2020/02/fasb-turns-up-the-heat-on-goodwill-impairment-testing/