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新会計基準と経済危機

 

2020313日付日本経済新聞電子版に、「[FT]欧米銀、新会計基準と新型コロナ対応に苦慮」という記事がありました(添付1ご参照、添付2は出所のFT)

添付1 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56761340T10C20A3000000/

添付2 https://www.ft.com/content/a3513a54-6486-11ea-b3f3-fe4680ea68b5

ここでいう新会計基準は、国際会計基準のIFRS9「金融商品」と米国会計基準のASU326「金融商品(信用損失)」です。どちらも、将来発生する(であろう)損失を予想し、それに対して引当金を設定します(予想損失モデル)。従来は(どちらも)、過去発生した損失(実績)に基づき引当金を設定していました(発生損失モデル)。この変更(発生損失モデル→予想損失モデル)によって、「貸倒損失を悪化させ」「貸倒損失を以前より早く計上しなければならなくな」り「迫り来る危機が『著しく増幅』するかもしれないと」述べています。確かにIFRS9とASU326は、信用損失の認識を早期化し引当額を増加させるもしれません。しかしこれら(新会計基準)は、過去の苦い経験(例えば2008年の世界金融危機)を踏まえて、Due Processに則って制定されました。たとえ「銀行決算に以前より早くダメージが及」ぼうとも(適切に)適用されるかどうか、今後の推移を見守りたいと思います。