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橋本努 (2013)『学問の技法』読了

この本は、高校まで勉強して大学に入り、大学で初めて学問に接する大学生を読者として想定しています。筆者は、おわりに:この技法を抜け出るときの中で、この本は技法を解説するマニュアルだと述べています。しかし中身はマニュアルにとどまらず、筆者の経験を踏まえて、学問をしていくために必要な基礎が丁寧に説明されています。実際、そうそうと腹落ちしたり、そうだったんだと気付かされたり、多くのことを学びました。読んで良かったです。今後に活かすともに、特に教養の授業で役立てたいと思います。以下は備忘として抜き書きした一部です。

・ある人の発言内容に対して「エ~ッ?」とか「ハァ?」とかいった生理的嫌悪感を示してはいけない。[162]

・議論がかみ合うとすれば、それは相手も自分も、自身の議論の弱さを認めたときであるだろう。[163]

・自分の意見に自信がなくても、あるいは相手の意見に対して激怒したとしても、「余裕の笑み」を演出して議論をつづけたい。むろん議論では、スポーツ競技と同様に、「余裕の笑み」が通用しないこともある。その場合はポーカー・フェイス(無表情)で臨みたい。[164]

・本の理解とは、その内容に関する疑問点がなくなることではなく、内容に即した疑問点をたくさん挙げられるようになることである、と理解しておきたい。[179]

・究極的な結論を出す必要はない。結論は最終考察である必要はない。[200]

・考えることよりも先に手が動いて、すでに書き始めている状態にもっていく。[201]

・課題の設定の仕方が鋭いものであれば、それだけで高い評価を受けるであろう。[218]

・まず「結論」を書く。[219]

・独創性を示すよりも重要なのは、自分の主張と他人の主張を明確に区別できるようになることである。[222]