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先崎学 (2020)『将棋指しの腹の内』読了

先崎九段による食と酒、それに棋士の思い出を綴ったエッセイです。将棋ファンには興味深いエピソードばかり、楽しく読むことができました。実名で登場する棋士の皆さんは、苦笑いしながら読んだに違いありません。また先崎九段が育った昭和や平成という時代を懐かしみ、大切に思っていることが文章の端々で感じられ、共感しました。ところで先崎九段は、所謂「羽生世代」です。この世代は、若い頃から羽生九段を中心に、数多くのタイトル獲得者を輩出してきました。ところが近時のタイトル戦は、豊島名人(竜王と2冠)30歳、棋聖と王位に挑戦する藤井七段が17歳と大幅に若返り、世代交代が進んでいます。勝負の世界・実力の世界は厳しいものです。そんな折、50歳を迎える「羽生世代」の面々が、(棋士という)本業以外の分野でも活躍(将棋連盟会長、ユーチューバー、文筆など)ていることを知り、嬉しく感じました(本書もその1つです)。私自身は「羽生世代」よりもう1つ上の「谷川世代」です。引き続き与えられた仕事に全力で真摯に取り組み、一日一日を大切に過ごそうと思います。