筆者はカナダの大学で教鞭をとる文化心理学者です。欧米文化圏と(日本を含む)東アジア文化圏の視点の違いについて、様々な角度から複数の例を用いて分析しています。その違いを3つの視点からまとめると次の通りです。
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欧米文化圏 |
東アジア文化圏 |
判断 |
ピンポイントで判断 |
回りや全体の雰囲気も考慮して判断 |
思考様式 |
分析的 |
包括的 |
視点 |
自己中心的、利己的 |
第三者的、利他的 |
本書において筆者は、欧米文化圏と東アジア文化圏がどのように、またなぜ違うのかを丁寧に説明しています。また(著者は)どちらかに優劣をつけるのではなく、こういった違いの存在を知ることが大切だと説いています。どちらにも一長一短があり、それらを上手く組み合わせたり、視点を移すまたは共有することで得られることが多いからです。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、多様性が改めて注目されるこのタイミングで読むことができて良かったです。ただタイトルは、一工夫あっても良かったかもしれません。本書のタイトルは、例えばビジネスパーソン向けの(軽い)読み物といった印象を与えるのではないかと感じたからです。西洋人と東洋人の視点が、それぞれの文化によっていかに違うのか、なぜ違うのかを解明しようという意欲的かつ骨太な内容だけに、もったいないミスマッチが起こっていないか気になりました。