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議決権行使の集計作業

2020年9月24日付日本経済新聞「[社説] 株式会社制度の根底を揺るがす不祥事だ」によると、三井住友信託銀行とみずほ信託銀行が、上場会社から委託された、株主による議決権行使の集計作業でミスをしたそうです。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64202370U0A920C2SHF000/

確かに、「株主総会は株式会社の最高意思決定機関である。その制度の根底を揺るがし、国内外の投資家による日本株への投資の手控えにつながりかねない不祥事」で、「会社法が保障する株主の権利を損なう由々しき事態だ。同行による説明責任と原因究明は必須」だと

(は)思います。しかし素朴に考えて、6月末に(日本中の会社の)株主総会が(ほぼ)集中し、大量の議決権行使の集計をしなければならない以上、こういったミスは起こり得るのではないでしょうか。言うまでもなく「説明責任と原因究明」は不可欠です。しかし今回のミスを奇

貨として、「総会の開催が特定日に集中する現状」を改善すること(こそ)が再発防止につながると思います。実際「株主名簿を確定する基準日をずら」すのは一法です。それ以外にも、3月に集中している決算期の見直しや、株主総会と取締役会の機能・線引きの見直しな

ど検討材料は豊富です。また「電子化も課題」でしょうか。「日本にも電子投票のインフラは導入されているが、企業側の採用が進んでいない」のはなぜか、企業側の採用が進めば株主側は電子投票に応じるのかといった点について、現場の声も踏まえた議論が求められていると思います。デジャヴを感じさせる、戦力(主に人員)の逐次投入によるパッチワーク的な対応ではなく、ピンチをチャンスに変える本質的な対応によって、三方(企業、投資家、市場)良しの実現が望まれます。