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シーナ・アイエンガー、櫻井佑子[訳] (2010)『選択の科学-コロンビア大学ビジネススクー ル特別講義-』読了

ジャムの実験(*)で有名な筆者が、大学時代の研究テーマである「選択」を分かりやすく解説した1冊です。筆者は、身の回りのちょっとしたことに関心を抱き、人が「選択」する際のプロセスや「選択」する際に受ける影響などを詳しく分析しています。それにしても、「選択」という行為にこれほど深みがあるとは驚きでした。また、人は自分が思うほど自分で「選択」しておらず、そのうえ自由でもないことも知りませんでした。NHK/Eテレのコロンビア白熱教室をみてから随分時間が経ちましたが、読了できて良かったです。文庫本ですが、主要参考文献一覧にソースノートが加わるなど論文としての精度・透明性も担保されています。

(*)ジャムの実験:6種類のジャムを用意したA店と24種類のジャムを用意したB店。ジャムの売上高が大きいのはどちらか?直感的には24種類のジャムを用意したB店の売上高が大きい気がする。しかし実際はA店の売上高の方が(B店に比べて)6倍大きかった。このことから、人は選択肢が多ければ多いほど、選択をあきらめる傾向にあることが分かる。