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日本企業の大株主

年金資産を運用する国の独立行政法人である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と日本銀行は、日本企業の大株主です。昨日の報道(2020年10月23日付朝日新聞「公的マネーが大株主、東証1部の8割 4年前から倍増」)によれば、GPIFと日本銀行は、東証1部企業の

8割にあたる約1,830社で事実上の大株主となっているそうです(2020年3月末時点。保有額はGPIF36兆円、日本銀行31兆円の計67兆円。これは東証全体の12%)。 https://www.asahi.com/articles/ASNBQ777SNB9ULZU00W.html

GPIFの株式購入は年金資産の運用、日本銀行のETF購入は金融政策を通じた経済対策と性格は異なりますが、市場機能の低下と財政規律の弱体化を招くという点では共通です。うち日本銀行については、すでに「純投資目的で株式を保有しているわけではない日銀が市場の主役となる副作用は大き」く、「満期を迎えると償還する国債や社債と違い、ETFには満期がない。残高を減らすには市場に売却する必要があるが、株価の下落を招かないように長い時間をかけて慎重に売却せざるを得ない。自暴自棄ともいえる状況に」あることが指摘されています(2019年4月16日付日本経済新聞「日銀、日本株の最大株主に 来年末にも」)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43792260W9A410C1EA2000/

残り2ヵ月となった2020年末は、当時の見立て通りとなるのでしょうか。またGPIFと日本銀行は、大株主として、投資先の企業統治(corporate governance)にどのように関与(貢献)しているのか、相変わらず気になるところです。