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収益認識に関する会計基準の適用

2018年3月30日に、わが国における収益認識に関する包括的な会計基準として、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準(以下、収益認識基準という)」が公表されました。収益認識基準は、財務諸表作成者への負担を考慮し、3年間の準備期間を経て、2021年4月から予定通り適用開始となりましたが(早期適用可)、小売りや電力業界などで、2022年3月期の売上高が小さくなる企業が相次いでいるそうです。出所:2021年5月14日付日本経済新聞 新会計ルールで「大幅減収」相次ぐ: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

この点、例えば会計基準設定主体の立場からすると、準備期間の間に分かっていたのでは?といったところでしょうか。また、収益認識基準の早期適用によって、経営面に影響が出ている企業があるそうです。ただそれも、収益認識基準の早期適用はきっかけにすぎず、本質は経営規律(の問題)という気がします。なお、確かに収益認識基準は、「日本の会計基準で従来はバラバラだった、売り上げをいつ、どのように計上するかを包括的に定めたもの」かもしれません。しかし(収益認識基準)以前は、「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」という企業会計原則(損益計算書原則三B)によっていた、とでもした方が、実態に近くかつ(無用な)誤解を惹起することがないのでは?と感じました。