· 

リチャード・サスカイド、ダニエル・サスカイド、小林啓倫[訳] (2017)『プロフェッショナ ルの未来―AI、IoT時代に専門家が生き残る方法―』読了

学部の講義で「コンピュータ会計」を取り上げることから、本書を手に取りました。筆者たちは、今日のAI、IoTは、「情報蓄積」機能に「情報検索」機能が加わったことで、「情報分析・活用」が可能になったとしています。その上で、AI、IoT が浸透したプロフェッショ

ナルの世界と未来予想を行っています。残念ながら、明示的な結論は示されていません。しかしおそらく、「将来的に(一夜にしてという意味ではなく、数十年程度の長さで)、専門職において技術的失業が発生すると予想している(393頁)。」という見立てと、「長期的に見た場合、次第に性能が進化する機械が専門家の仕事を変え、社会において実用的専門知識を共有する新しい方法を生み出すだろう(409頁)。」というメッセージを伝えたかったのだろうと理解しました。なお図5.1専門職の進化(268頁)に関連して、次頁に「教室の教授」とありました。確かに「大学教員も専門職」です。とかく専門職といえば、医師・弁護士・会計士などを思い浮かべます。しかし大学教員も専門職であることを忘れないようにしようと思いました。また「モンティ・パイソンで揶揄の対象となっていることで有名な会計士

(注252、424頁)」の(揶揄の)日本語訳は次の通りです。「専門家はあなたのことを、恐ろしいほど退屈で、面白みのない、臆病な人間で、自分からは何もせず、根性のない、流されやすい、ユーモアのない、飽き飽きする人物であり、さらには信じられないほどさえない奴だと言っている。これはほとんどの職業では欠点になるが、公認会計士の場合、恩恵となるだろう。」