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河合敦 (2014)『殿様は「明治」をどう生きたのか』、同 (2017)『殿様は「明治」をどう生きたのかⅡ』読了

本書は、幕末から明治という2つの時代を生きた殿様の人生模様を描いています。版籍奉還(1869年)と廃藩置県(1871年)によって、幕末の殿様は、支配者ではなくなりました。このような時代の変革期に、右往左往しながらも次の一歩を踏み出した殿様もいれば、時代

に取り残された殿様もいます。一人一人が、時代とどのように折り合いをつけたのか、興味深く読みました。明治になってから、海外に留学した殿様が何人もいたことにも驚きました。描かれている中では、Ⅱの一宮藩/加納久宣の生きざまと「政事は万策に在るが之を行ふは人に在る、人の手腕と熱心さとを欠いた日には地方行政の効果は決して挙るものではない。」(165頁)という言葉が印象に残りました。