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社員の横領を見抜けなかった監査役の賠償責任

社員の横領を見抜けなかった監査役の賠償責任が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁は、監査役の責任を否定した二審・東京高裁判決を破棄し、審理を高裁へ差し戻しました。

出所:2021年7月20日付日本経済新聞 帳簿で横領見抜けぬ監査役、裏付け確認すべき場合も: 日本経済新聞 (nikkei.com)

本件監査役は、会計監査人を置かない会社の「会計限定監査役」だったようです。したがって、「会計限定監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,常にその任務を尽くしたといえるものではない」という判示事項(*)もやむを得ないのかもしれません。

(*)最高裁判所判例集 裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

とはいえ、会計監査を担っていながら横領に気づかなかったとして監査役を訴えた「会社側の二重責任の原則」は?という素朴な疑問が浮かびます。