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安藤優一郎(2020)『お殿様の人事異動』読了

筆者は、江戸時代の「国替え(転封)」に着目して、幕府の大名に対する統制とそこから生じる悲喜こもごもを、資料に基づいて丁寧に描いています。磐城平藩/内藤家の日向延岡への転封を例にした国替え(転封)を中心に、大岡忠相・長谷川平蔵といった有名人の「人事」に係るエピソードも紹介しています。いずれも興味深い内容でした。読み物と学術書の間に位置づけられそうな、親しみやすい1冊でした。それにしても、国替え(転封)によって大名を統制してきた幕府が、大政奉還によって静岡に国替え(転封)されて明治時代を迎えたことに、歴史の皮肉を感じました。