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服部正也(2009)『ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』読了

筆者は、1965年から1971年にかけてルワンダ中央銀行の総裁を務めた元日銀パーソンです。本書は、スリリングなノンフィクションでした。最も興味深く感じたのは、筆者の「実力」と「矜持」です。実力は、本業である中央銀行業務にとどまらず、大統領の信頼を背景にした経済再建(輸出入政策、産業振興策)・通貨改革(為替政策)、さらに倉庫会社設立・ディーゼルトラック輸入など多くの分野で発揮されました。矜持は、ルワンダ人の能力と自主性を信じ、ルワンダ人のためになることを求めた行動、および「私は戦に勝つのは兵

の強さであり、戦に負けるのは将の弱さであると固く信じている」「途上国の発展を阻む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである」という言葉から、知ることができます。筆者が、勘定科目の設定から記帳・帳簿管理を自ら行ってい

たことにも(良い意味で)驚きました。信頼性のある簿記・会計は、いつの時代も、国や地域を問わず不可欠です。