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門井慶喜(2016)『家康、江戸を建てる』、同(2018)『徳川家康の江戸プロジェクト』読了

 『家康、江戸を建てる』では、当時未開の「土地」だった江戸を、将来世界的な「都市」とするための基礎作りを、家康がどのように考え、行ったかが書かれています。とはいえ、主役は家康ではありません。主役は、「河川工事」「貨幣鋳造」「上水道整備」「築城」「街づくり」という5つのインフラを担当した、それぞれの専門家です。彼らが、戦のない平和な時代を見据えて、人材を抜擢し、適材適所に配置した家康の期待に応える様子が、生き生きと描かれています(プロジェクトXやプロフェッショナルに近いイメージでしょうか)。家康の、世の中を変えるときには新しい考え方を採り入れ、知名度は低くても有能で熱い心を持つ専門家を抜擢し、(その後は)一歩引いて専門家の仕事(現場)を見守るスタンスも、「武将というよりは政治家」の印象でした。興味深かったです。

 『徳川家康の江戸プロジェクト』は、『家康、江戸を建てる』の副読本(・解説書)のように感じました。