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井上章一・本郷和人(2018)『日本史のミカタ』、井上章一・佐藤賢一(2019)『世界史のミカタ』読了

『日本史のミカタ』は、建築史家の井上と東大史料編纂所教授の本郷による対論です。特にテーマを決めて論じている訳ではありません。実際、建築史だけではなく日本の歴史にも精通する井上の様々な「ミカタ」を、本郷が受け止めて、2人が自由に展開する構図は、何らかの結論が出るわけでもありません。しかし、発想を転換することで新たな「ミカタ」ができること(井上)、研究者も専門分野にこだわらず間口を広くとること(本郷)の重要性を教えてくれました。興味深い話がたくさんあり、楽しく読むことができました。

『世界史のミカタ』は、同じ井上と直木賞作家の佐藤による対談です。東洋史に詳しい井上と西洋史に詳しい佐藤が、それぞれの「ミカタ」を披露しています。一見嚙み合わなさそうです。しかし中央アジアの遊牧民やイスラムに注目し、ヨーロッパ視点では見えない歴史が浮き彫りにされるなど新たな視座を得ることができました。紹介されているエピソードも興味深かったです。

ところで、「ミカタ」シリーズは三部作だそうです。残る『歴史のミカタ』も時間を作って読んでみようと思います。