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上場企業における非財務情報開示

今後、日本の主要上場企業における非財務情報開示の重要性が一層増し、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD)への対応は、必須になっていくようです。

出典:2022年1月10日付日本経済新聞電子版 統合に向かう開示基準 東証再編、「TCFD」対応必須に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

実際、2021年11月に国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board, ISSB)が、IFRS(国際財務報告基準)財団によって設立されました。ISSBは、2022年からサステナビリティに関する情報開示の基準を順次策定する予定で、第1弾として、年内にも気候変動関連の基準を作るようです。これによって、非財務情報開示基準が統合されて、これまで様々な団体が策定した基準による混乱はなくなるかもしれません。しかし、素朴に考えて、①実態を問わず一律の開示基準を適用することの妥当性、②財務情報(財務諸表本体・注記)と非財務情報(サステナビリティ報告など)の線引き、③質的特性としての比較可能性の重要性の程度といった点は気になります。また、自然資本・社会資本に対するSDGsやESGといった取り組みを、主要上場企業(における非財務情報開示のみ)に委ねることで、本来の目的を達成しうるのかという点も興味深いところです。