· 

冨田浩司(2018)『マーガレット・サッチャー 政治を変えた「鉄の女」』読了

本書は、「鉄の女」として知られるサッチャーの伝記です。本書を通して、3つのことを学びました。

第1に、当時のイギリスが置かれていた2つの状況とサッチャーが備えていた政治家としての5つの資質が、「鉄の女」を生み出したことです。

イギリスの状況:①鉄鋼・造船・自動車・航空機・エネルギーといった主要産業、電気・ガス・水道・通信・鉄道といった公共インフラが、いずれも国営だった。②「ゆりかごから墓場まで」で知られる高福祉政策が採用されていた。

サッチャーの資質:①思想的確信、②道徳的勇気、③一貫性、④仕事をやり抜く鉄の意志、⑤愛されることを望まなかった。

第2に、人は一生の間に何度か訪れるチャンスをどう生かすかによって、その後の人生が方向づけられることです。

第3に、(外交官である筆者の指摘ですが)「国家間の関係も結局は人間の営為であり、外交の現場で政治指導者間のケミストリーがその動向に有形、無形の影響を与え得る」ことです。

サッチャーはすでに歴史上の人物ですが、勉強になりました。