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監査法人の制度疲労

近時の会計不正に関して、監査法人は職責を十分維持できない「制度疲労」に直面している可能性があるという報道に接しました。

出典:2022年1月26日付日本経済新聞電子版 グレイスの不正会計発覚、見抜けぬ監査に「制度疲労」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「制度疲労」の要因として、①人手不足(業務量の増加が人員の伸びを上回っている)、②働き方改革(違和感を放置せず会社側に突っ込んで確認する余裕がなくなっている)、③新試験制度(国際的な流れに逆行して改悪だった)があげられています。確かに、特定の監査法人ではなく大手監査法人全般で起きていること、(近時の会計不正は)察知しうる兆候がある典型的な会計不正であることから、「制度疲労」という可能性があるのかもしれません。とはいえ、会社側が担う(はずの)二重責任の原則はどのように果たされていたのか?という素朴な疑問は残ります。しかし、約2ヵ月前には、元会計限定監査役の賠償責任に関して、最高裁が、責任なしとした高裁判

決を破棄し審理を差し戻しています。「制度疲労」という見立てを吹き飛ばす、監査法人の前向きな取り組みが待たれるところです。