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山本博文(2020)『「関ケ原」の決算書』読了

関ヶ原について、当時の石高や金銀を一定の前提で円に換算した決算書を通して読み解く筆者の視点を、興味深く感じました。

特に、直接戦ったわけではない豊臣秀頼が、関ヶ原以降、摂津・河内・和泉の3ヵ国(のみ)の大名に転落した上に、巨額の富(運上金)を生みだす主要な鉱山を手放した事実を、数字を通してリアルに理解することができました。また、徳川家康にとって、関ヶ原における最大の成果は、秀頼の経済的な地盤を手に入れたことであり、それを原資に秀頼を滅ぼした上で、260年続く江戸幕府の経済基盤を整えたという筆者の見立ても斬新でした。

武勇や人望に加えて、カネにも目配りが出来た家康が、豊臣秀吉の後を襲い、秀吉の遺産の上に江戸幕府を開いたのは、必然だったのかもしれません。