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有価証券報告書の意義

気候変動リスクや人材価値を示す「人的資本」といった企業のサステナビリティ(持続可能性)について、有価証券報告書に記載欄が新設される見通しだそうです。

出典:2022年3月24日付日本経済新聞電子版 気候リスクや人材価値、有報に記載欄新設へ 金融庁方針: 日本経済新聞 (nikkei.com)

有価証券報告書は、上場企業や一部の非上場企業など約4,000社が、法律で提出を義務づけられています。目的は、投資家に対して、投資判断に有用な情報を提供することです。したがって投資家が、財務諸表に載らない「非財務情報」が有用で、投資判断に役立つというの

であれば、開示してあげれば良いように思います。

ただ、本来重要なものは、「財務情報」として、全て金銭で評価されて開示されているのでは?という素朴な疑問は残ります。

また、有価証券報告書を提出している会社は、全体の1%未満、そこで働く人は約30%といわれています。これに対して、提出していない会社-中小企業-は全体の99%超、そこで働く人は約70%といわれています。日本の1人あたりGDPが、先進国の中位から下位に位置する現在、投資家が、生産性向上につながる人材価値(向上を目指す)という観点から「人的資本」の開示を求めているとすれば、有価証券報告書提出会社を対象とするだけで十分なのか?いう疑問も生じます。