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根井雅弘(2019)『経済学者の勉強術:いかに読み、いかに書くか』読了

筆者は、高校時代以降の勉強術(いかに読み、いかに書くか)を丁寧に述べています。

本書のタイトルは、勉強術です。しかし高名な経済学者の勉強術です。したがって、受験や資格試験を対象とする勉強術について論じているわけではありません。自らの興味と問題意識に基づき、一次情報(原著)にあたることによって、深い学識が蓄積されていくことを分かりやすく説明しています。

本書を通して筆者は、自らの努力と経験をストレートに述べています。したがって、説得力があり、腹落ちしました。特に、「単なる『知識』と『教養』は分けて考えたほうがよいこと、そして『教養』とは知識の寄せ集めではなく、長年、幅広い読書やゆとりのある思索の時間からある種の『化学反応』を経て生まれてくる何物かであることを指摘したかった。」(168頁)という点を、印象深く感じました。

とはいえ筆者は、読解力や記憶力が極めて高い上に、高校時代に始めた自発的な勉強を現在も継続しています。当然ながら、同じことはできません。自分なりの努力を重ねつつ、「母国語(母語)だといって日本語は曖昧に書いてはならない。いつでも英語にしたらどうなるだろうか、ということを考えながら書く。」(20頁)ことは、忘れないようにしたいと思います。