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西川郁夫(2020)『会計基準の考え方:学生と語る23日』読了

筆者は、教授と院生との対話形式を用いて、日本基準とIFRS(・米国会計基準)を中心に、会計基準の考え方について説明されています。1日1項目の対話形式は、基準の目的や問題点の解説にとどまらず、基準設定プロセスにおける様々な論点(理論・実務、政治・経済)や基準設定主体の意図が明らかにされており、23項目いずれも興味深い内容でした。

筆者は、学究一筋ではないと断り書きを入れつつ、近年の財務会計の研究者の研究領域は、現実の会計基準のあるべき論から遠ざかっていると述べておられます。もとより微力ですが、本書を通底する「会計は、基準の検索能力より、考える力」という筆者の思いを重く受け止めて、学部および大学院において担当する会計の講義にベストを尽くす所存です。