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岩崎勇 [編著](2021)『AI時代に複式簿記は終焉するか』読了

壮大かつ意欲的なタイトルにも惹かれて、本書を拝読しました。

第1章から第7章では、会計・簿記がご専門で、(岩崎先生を含む)スタディグループに属する先生方が、手書会計との差異・勘定理論・分類的複式簿記・帳簿の電子化・ERP・クラウド会計・ブロックチェーンといった様々な観点から、AI時代におけるコンピュータ会計の下での複式簿記の終焉(の有無)について検討されています。いずれも興味深い内容でした。

最終第8章「コンピュータ会計化に伴う複式簿記の変容」では、岩崎先生が複式簿記の機能的側面と原理的側面を取り上げておられます。そこでは、複式簿記の基本的仕組みは原理的側面として整理されています。したがって、コンピューターへの移行によっても原理的側面が変容するものではなく、複式簿記は終焉していないと述べておられます。なるほど、こういう見方もあるのだと得心しました。今後の動向も注視したいと思います。