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米自社株買い課税、2023年1月から

米国の新たな歳出・歳入法が成立し、2023年1月から「自社株買いを実施した米企業への課税」が始まります。適用税率は(企業が実施した自社株買いのうち、同一年度内に新規発行した分を差し引いたネット株式購入額の)1%です。

出典:2022年8月17日付日本経済新聞電子版 米自社株買い課税、231月から 効果拡大へ税率上げも: 日本経済新聞 (nikkei.com)

バイデン政権は、10年間で700億ドル(約9兆円)規模と見込む税収を、気候変動対策などの原資にしつつ、「企業に余剰資金を賃上げや設備投資などに回すよう促す」としています。民主党内には、株式報酬を受け取る企業経営者や株式を大量に保有する富裕層が恩恵を受けやすい自社株買いについて、「企業による最も利己的な行為の一つ」(シューマー氏)と批判する声が根強くありました。今回の課税措置には「自社株買いを一定の税収源としつつ、過剰な実施をけん制し、余剰資金を賃上げや雇用の拡大、設備投資や研究開発(R&D)などに振り向けるよう促す狙い」があります。

とはいえ、1%の適用税率が企業行動にどれだけ影響を及ぼすかは見通せません。しかし、自社株買いの課税負担が段階的に重くなれば、企業の資金使途に変化が生じるかもしれません。今後の推移を見守りたいと思います。

なお会計処理は、税引前のどこかの段階で費用計上されるのでしょうか(利益(所得)に課せられる税金にはあたらないので)。