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KAM、企業の4割が前例踏襲

KAMについて、2022年3月期の内容を調べたところ、内容が前の期から明確に変わったのは2割で、4割はほぼ同じだったそうです。

出典:2022年9月28日付日本経済新聞電子版 監査の重要項目「KAM」、企業4割で前例踏襲: 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、「ウクライナ侵攻など事業環境が変わるなか、前例踏襲の記述は投資家に財務リスクを分かりやすく伝える制度の趣旨に反しかねない」とのことです。しかし、KAMは、監査人の監査計画におけるリスク評価やそのリスクに対応する手続の中からKeyとなるものを要約して記載するものです。したがって、素朴に考えて、リスク評価や対応手続に大きな変更がなければ、KAMもほぼ同じになるように思います。

また、「企業と監査人が経営環境を踏まえてリスク評価しているかなど、企業のガバナンス水準の把握にも役立つ」「KAMは監査人が書くが、企業の監査役などと協議したうえで項目を決めるため、ほとんど変わらない記載内容が続けば、監査人だけでなく企業のリスク管理姿勢も問われると」のことです。しかし、①企業のガバナンス水準はリスク情報の記載を、企業のリスク管理姿勢はコーポレートガバナンスに関する記載を、それぞれ参照すれば良いのでは?②これらはそもそも(KAMではなく経営者が作成する)有価証券報告書の守備範囲では?という疑問も生じます。