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北川哲雄[編著](2022)『ESGカオスを超えて:新たな資本市場構築への道標』読了

ESGを正式に世に送り出したのは、2006年の国連のPRI(Principles for Responsible Investment, 責任投資原則)でしょうか。もともとは、機関投資家の意思決定プロセスにESG課題(Envirment, 環境・Socoal, 社会・ Governance, 企業統治)を織り込み、その責任の範囲内で反映させるべきというガイドライン的なものだったと記憶しています。その後、ESG投資の拡大とともに、意味や意義が曖昧になり分類が広がりました。なんでも開示やアルファベットスープといった言葉も聞くようになりました。

本書はこのような状況を「カオス」ととらえて、第一線で活躍されている方々が、ご専門の立場から論じておられます。中でも、第8章(ESGカオスと企業経営・財務政策の基軸)および第9章(サステナブル資本主義における会計の役割)を興味深く拝読しました。

結局、ESGが当たり前の世になり、企業もそれに応えた開示をすれば、取り立ててESGを論じることもなく、「カオス」も自然に解消するように思いました。