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不正会計防止へ内部統制報告書制度を見直し

金融庁は、企業の不正会計を防ぐため、上場企業に報告書の提出を義務付けている内部統制報告書制度を見直す方針だそうです。

出典:2022年10月11日付日本経済新聞電子版 不正会計防止へ制度見直し 内部統制、訂正に監査義務も: 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、二重責任の原則に基づく財務諸表の作成責任および内部統制の構築・運用責任は経営者にあります。そして、不正会計を行うのも経営者です。したがって、「企業が自主的に内部統制の穴を見つけ、改善につなげる本来の狙い」を実現するためには、経営者への対応(こそ)が一丁目一番地ではないでしょうか。例えば、「内部統制を適切に整備・運用することによって得られる恩恵の最大の享受者は、ほかならぬ経営者自身である。内部統制に対して最終的に責任を追う者は、経営者である。内部統制は経営者を守り、経営者のためのものであり-それが適切に有効に整備・運用されていればであるが-、けっして公認会計士や監査役のためにあるのではない。」引用元:鳥羽至英・秋月信二(2018)『監査を今、再び、考える。監査を考える原点は何か?』p.122。

監査人に関しては、「役割を強化する」のではなく、(経営者に対する)「立場を強化する」ことは必要かもしれません。

なおダイレクトレポーティング(直接報告制度)は、一般的には、内部統制の有効性の評価を経営者が明示せず、監査人など第三者が直接有効性を評価する手法と解されているようです。