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三中信宏(2021)『読む・打つ・書く-読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々-』 読了

以前読んだ『物理学者のすごい思考法』を通して、日頃接することのない理系研究者に関心を抱き、本書を手に取りました。

タイトルの「読む」「打つ」「書く」は、「本を読む」「書評を打つ」「本を書く」のことでした。筆者は、本を「読書」「書評」「執筆」の3つの側面に分けています。そして、それぞれの現状と問題点を示した上で、自らの経験に基づく具体的な提言をしています。一言でいうと、理系研究者による「読書論」「書評論」「執筆論」でしょうか。

印象に残ったのは、次の3点です。

・学術書の定義:文献リスト・註・索引の3点セットが揃っていること。

・研究者としての心得:①根拠のない自信をもつ、②限りなく楽観的である、③好奇心アンテナが広い、④孤独な“天動説”主義者、⑤偶然を受入れる構え。

・研究者としてのポリシー:ものごとは頭に覚えさせず、必ず紙に覚えさせるべし。四の五の言わず書きまくる。

内容は。事前に抱いていたイメージとは異なるものでした。しかし、たくさん書くことが求められている研究者にとって、自らの経験に基づく具体的な提言は、理系文系問わず参考になるように思いました。原稿執筆のための3つのスローガン「時間確保」「計画厳守」「弁解無用」と3つのモットー「細分目標」「公開加圧」「接触主義」を踏まえた「整数倍の威力」も興味深かったです。一口に理系研究者といっても色々な先生がおられるものです。勉強になりました。