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米銀大手が景気後退に備え与信費用を2年振りに計上

商業銀行部門が中心の米銀大手4行は、米景気後退に備えて、各行とも貸倒引当金を積み増し、与信費用を2年ぶりに計上したそうです。出典:2023年1月14日付日本経済新聞電子版 米銀大手、景気後退に備え 与信費用2年ぶり計上: 日本経済新聞 (nikkei.com)

本件処理は、米国会計基準:ASU326「金融商品(信用損失)」に依ると解されます。この点、ASU326が依拠するCECLルール(Current Expected Credit Loss, 現在予想信用損失)について、①貸倒損失は以前より早く計上しなければならず、②貸倒損失は悪化し迫り来る危機が著しく増幅するかもしれない、と言われたことがありました。実際、独立性のゆらぎもあったようです。

今回は「与信費用の増大を吸収する利ざやや拡大の追い風が近くやみそう」で、「低金利の預金を前提にした商業銀ビジネスは転機にさしかかっている。」にもかかわらず、貸倒引当金を積み増し、与信費用を計上するという経営判断が下されたようです。会計基準が健全に機能している証でしょうか。

それはさておき、以前「全国15の地方銀行が将来発生すると予測する損失を前倒しで処理し始めた。」という記事がありました。日本の銀行の対応も興味深いところです。