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映画『イニシェリン島の精霊』鑑賞

この映画は、何もない退屈な島(1)における2人の中年男性の友情が、些細な出来事を機に狂い出し、兄弟や隣人まで巻き込んで意外な展開を見せるヒューマン・ドラマです。

作品が示す、①2人の中年男性(2)は外から見ると五十歩百歩(3)であること、②ちょっとしたボタンの掛け違いが1度こじれると戻しようがなくなること(4)は、私たちの身の回りにもありそうです。

鑑賞後は、①本物の知識や教養があれば、この争いは避けられたのか、②何もない退屈な島の住民は、今まで通りの生活を続けて、緩やかな衰退を迎えるしかないのか(5)という、現代の日本にも共通する重い問いが委ねられました。

(1)アイルランドにある架空の孤島(イニシェリン島)。時代は1923年。

(2)主人公の2人-パードリックとコルム-は、知性に欠けた「愚直者」と音楽を愛しバイオリンを演奏する「教養人」である。

(3)パードリックの妹シボーンに見抜かれる。

(4)コルムは、何とか関係を修復しようとするパードリックに対して、「これ以上自分を煩わせたら自分の指を切り落とす」と言い、2度(自分の指を)切り落とした。

(5)シボーンは兄パードリックを残し島を出て行った。