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米国におけるESG投資を巡る議論

米上院は、企業年金運用でESG(環境・社会・企業統治)を考慮した投資判断を禁じる決議案を、下院に続いて可決したそうです(1)。出典:2023年3月3日付日本経済新聞電子版 米年金「ESG考慮禁止」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

与党民主党内でも、左派は気候変動や社会正義を重視し企業に対応を迫り、保守派は同調する企業を「Woke Capitalism(社会主義に目覚めた資本主義)」と批判するとのことです。本件バイデン大統領は、拒否権を行使する見通しのようです。また以下も興味深い点です。

①ESGがエリサ法(2)の要件として適切かどうか。この議論は米国では古くて新しい。ESGという考え方が普及する前は、「反たばこ会社」「反アパルトヘイト」などが投資先選定を巡る論争の対象だった。出典:2023年3月3日付日本経済新聞電子版 ウォール街襲う「反ESG」の波(NY特急便) - 日本経済新聞 (nikkei.com) 

②ESGに関する株主提案が、株主総会で可決されても企業が実行に移す確率は低い。米国では株主の投票結果に拘束力はなく、企業が株主総会での決議事項を無視することに法的な問題はない。出典:2023年3月2日付日本経済新聞電子版 [FT]ESG関連の株主提案、可決でも実行は少数派 米企業 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

今後の推移を見守りたいと思います。

(1)上院は与党民主党が多数派を占める。しかしエネルギー資源が豊富な州選出の民主党議員が賛成に回り、可決された。

(2)エリサ法は、年金受給者の利益を最大限追求することを目的に1974年に制定された。