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監査法人の企業価値を担う取り組み

監査法人が、企業価値を担う取り組みを実施しているそうです(1)。出典:2023年7月11日付日本経済新聞電子版監査法人、企業価値担うか - 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、素朴に考えて、本件取り組みと、会計情報を開示する側(経営者)と利用する側(投資家)の役割分担の関係は?(2)という疑問が生じます。例えば、経済産業省は、企業価値を「株主価値(時価総額)と純負債価値の合計」と定義しました。このように定義された企業価値は投資家が推計するものであり、経営者(や監査法人)が代行することは難しいのでは?と考えるからです(3)。そもそも経営者は、重要なものは会計情報として全て金銭で評価して開示しているはずです。したがって投資家が、企業価値の推計に必要な情報が会計情報以外にあるというなら、(求めに応じて)開示してあげれば良い(だけの)ように思います(4)

3ヵ月前には、同じ4大監査法人の1つであるEYが、監査部門と非監査部門の分離計画を中止しました。「市場の門番」である監査法人の一丁目一番地は、会計監査を通じた「信頼付与」でしょうか。

(1)あずさ監査法人とPwCあらた監査法人取り組みが紹介されていた。

(2)経営者は投資家の意思決定に資する会計情報の提供、投資家は(提供された会計情報に基づく)企業価値の推計という役割分担がなされている。

(3)例えば、投資家にとって機会費用である資本コストを、経営者(や監査法人)が見積もることはできない。

(4)2023年1月19日のブログでも取り上げている。