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会計監査の担い手不足が深刻化

監査法人で働く公認会計士の比率が、10年で10ポイント下がり、財務諸表をチェックする会計監査の担い手不足が深刻になっているそうです(1)。出典:2023年7月23日付日本経済新聞電子版公認会計士、進む監査法人離れ 増える形式作業に失望 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

公認会計士法は、第1章第1条で使命を定めています(2)。しかし、「スタートアップやコンサルティング企業に転身する動きが目立つ」とのことです。また、公認会計士試験の出願者数、それに伴う公認会計士の数は、どちらも増えているものの、監査法人に所属し会計監査に従事する公認会計士は減っているようです。

原因の1つに、JICPAが監査でやるべき手続きを定めた監査基準委員会報告書(以下、監基報という。)が形式的で、膨大な作業が積み上がっていることが挙げられています。しかし四大監査法人は、ネットワークファームとの連携に従って国際監査基準をベースにした監査を行う以上、監基報がある程度詳細かつボリューミーになるのは、やむを得ないように思います。また、①賃上げやデジタルを活用した業務効率化、②顧客から受け取る監査報酬の引き上げ、といった施策はもっともです。しかし、①は一朝一夕にはいかず、②は相手のあることなので中々難しそうです。

本件結局は、先ず利害関係者に、公認会計士法に基づく会計監査が付加価値であることを周知徹底し(3)、その上で公認会計士の皆さんには、元気と意欲を持って働いてもらえる環境を整えることが進むべき道筋のように思います。

(1)同じ趣旨の報道は、その少し前にもあった。出典:2023年7月14日付NHK HP監査に異変 会計士が足りない? | NHK | ビジネス特集

(2)公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

(3)その際、例えば、監査役等と緊密に連携するなどコミュニケーションにより注意を払うといった工夫は必要かもしれない。