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公開講演会に参加する

先週末、公開講演会(1)に参加しました。タイトルは「企業会計の変遷と国際財務報告基準」で、第1部は山田辰巳先生による「IFRS会計基準に関するいくつかの話題-IFRSをより深く理解するための話題-」、第2部は石川鉄郎先生による「企業会計を学んで-中大での半世紀と重ね合わせながら-」でした。

第1部では、IASBの理事も務められた山田先生が、いくつかのIFRSについて、新設およびその後の改訂における、①理由、②その時の議論を交えて分かりやすくお話されました。また、①IASBが全ての資産の公正価値測定を志向しているというのは誤解であること、②関連会社からの損益が投資区分で表示されることによって、営業活動に関する一部が欠落するのはIFRSの検討課題であることといった、他では聞けないtipsも聞くことができました。

第2部では、石川先生が、半世紀をかけて取り組まれた企業会計についてお話されました。会計学という学問分野の特徴(2)から始まるお話は、一貫性と体系性があり、改めてアカデミアを極められた先生の凄みを感じました。一方、夏目漱石の講演録「道楽と職業」を引きながら、(学問は知的好奇心を満たしてくれる楽しいものだという)「道楽としての学問」に言及されるなど後輩の研究者を元気づける内容でもありました。

両先生から頂戴したimplicationは歴史に学ぶことの重要性です。基本に返って、先人の足跡を丁寧に辿ることを心がけたいと思います。勉強になりました。ありがとうございました。

(1)中央大学企業研究所の主催(第31回)。今年度は4年振りの対面開催だった。 

(2)法学(法律学)同様、商学・経営学・会計学という商学部に関係する学問分野についても、社会科学の典型的な学問分野とは必ずしもみなされておらず、その理由として、①実社会における専門職教育(プロフェッション教育)にかかわりを持つ学問分野であり、社会科学とは区別される法学と類似した側面を持っていること、②学問分野としては比較的新しく、理論的な枠組みを経済学・心理学・社会学などの典型的な社会科学の分野に依拠している応用的な学問分野という性格を有していることを挙げておられた。