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峰宗太郎・山中浩之(2020)『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』読了

3ヵ月ほど前に届いた「令和5年度新型コロナワクチン接種券」によると、6回目の接種時期は来月からです。また最近、「帯状疱疹予防接種」について、耳にすることが増えました(1)

このような状況下、早晩、(新型コロナと帯状疱疹の)ワクチン接種についての判断を求められることから、本書を手にしました。専門家である峰先生のお話(2)は、(僭越ながら)正直、目から鱗が落ちるというものではありませんでした。しかし、「どこまでも基本から考えること。自分の思い込みからくる無自覚の前提を置かないこと。これが重要で」(p.219)、「大事なのは知識じゃないんです。それは聞けばいい。調べればいい。大事なのは考え方です。」(p.222)という件は腹落ちしました。

本件結局は、自分で考え判断するしかないようです。専門家のご見解を踏まえて、丁寧に考えたいと思います(3)

(1)例えば、①世田谷区は帯状疱疹ワクチン接種費用の一部助成制度あり、②すでに接種した人によると副反応が強いケースありなど。

(2)例えば、「・・・やはり「検査は白か黒かはっきり分かるもの」とか「ワクチンが効くというのは、かからないことだ」といった、○か✕かの話とはものすごく相性が悪い。言い換えると、「一般常識」でずばっと判断するのは難しい。」(p.149)、「科学者ができることは、分かったことは分かったと伝える。出すべき数値は出す。モニターするものはする。そういったことを繰り返すしかないと思っていて、それを超える発言は、やはり科学者としては領空侵犯、越権行為だと思っています。」(p.166)、「結局、この問題は「やってみないと分からない。だから慎重にいろいろ試そう」しか解き方がないのです。」(p.172)、「サイエンスを扱うならば、因果関係のショートカットはいけません。前後関係や相関関係と因果関係を混同してもいけません。」(p.222)。

(3)鈴木貞夫先生の疫学に関する、「桁数の考え方でしょうね。同じ確率でも、分母の数が変われば実際の人数が「ケタ違い」に変わるというところに想像が及んでいない。」(p.240)、「疫学の話で大事なのは、細かい数字の整合性より「桁を間違えない」ことです。そしてもっと大事なのは、データと推測を分けて考えることですね。」(p.240)という見解も興味深かった。