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2023年3月期の会計不正は、中小・新興企業で顕著

JICPAがまとめた企業の会計不正の動向によると、上場企業などで、2023年3月期に不正を公表したのは34社だったそうです。(34社という)数は前年並みでしたが、東証のスタンダード市場とグロス市場に上場する企業の比率が68%(23社)と、対前年比22%上昇したようです。出典:2023年8月15日付日本経済新聞電子版233月期の会計不正、中小・新興で目立つ 会計士協調べ - 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、「内部監査などに人員を振り向けるのが難しい中小・新興企業で不正が目立」ち、「資金力のある企業を中心に監査体制の充実などが寄与したようだ。」とのことです(1)

確かに、監査は不正に対する最後の砦です。しかし、二重責任の原則に則った、経営者による内部統制およびガバナンスが前提です(2)。改めて指摘しておきたいと思います(3)

(1)例えば、中小・新興企業と大企業では、質的重要性と金額が同じ不正でも、量的重要性によって、開示を含めた取扱いが異なるケースがあるかもしれない。

(2)実際、「不正への主体的な関与者は役員が16件と最も多かった。複数の内部担当者や外部の協力会社などと共謀するケースの割合も半数を超える。これらのケースは内部統制を骨抜きにし、不正の発見を困難にする。」と述べている。

(3)例えば、2022年10月25日「不正会計防止へ内部統制報告書制度を見直し」2023年7月31日「分配可能額を巡る企業と監査法人の責任」注(1)