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PBRを巡るあれこれ

有価証券報告書に示す「経営課題」の項目にPBR(株価純資産倍率)に関して記載する企業が急増しているそうです。出典:2023年8月23日付日本経済新聞電子版PBRが課題」最多44に PwCの有報調査 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ところで、PBRはROEとPER(株価収益率)の積です。しかし、ROEが改善すればPBRが上昇するという見方に疑義が呈されているようです(1)。出典:2023年8月26日付日本経済新聞電子版社会保障議論に備えて - 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、①以前はPBR1倍割れが少なかったのはなぜか?、②その後PBR1倍割れが増えたのはなぜか?について興味深く感じました(2) 。また包括利益を業績指標(の1つ)とするなら、近時の円安による(包括利益の)増加をどう評価するのだろう?という素朴な疑問が生じます。

(1)宮川壽夫/大阪公立大学教授の見立ては次の通りである。①上場企業全体でみると、1980~1990年代前半までは、PBR1倍割れ企業は1割前後だったが、1990年代後半以降は、恒常的に半数近くかそれ以上になっている。直近10年で株価は3倍近くなったのに、上場企業平均のPBRの上昇は鈍い。②その要因には、第1に分母である純資産が蓄積されたことがある。中には円安で海外資産が膨らんだ要因もある。第2に戦略海外が拡大して円安で包括利益が増えて奏功したが、海外純資産も膨らみ、PBRが思ったより改善しない構造になっている可能性がある。

(2)先ずは『月間資本市場8月号』を読まなければならない。