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地方銀行と引当金

ASBJが議論している貸倒引当金の会計基準(1)について、地方銀行関係者から「本当に地域金融機関にとって必要な変更なのか」という声があるそうです。出典:2023年11月20日付日本経済新聞電子版債券含み損だけじゃない 地銀を悩ます引当金ルール - 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、地方銀行と引当金といえば、「FL引当金という、経済の将来予測に基づいて引当金を計上する方法によって、全国15の地方銀行が将来発生すると予測する損失を、前倒しで処理し始めた」ことが思い出されます。

それはさておき、地方銀行に、財務諸表作成者としての立場や意見があることは理解します。しかし、「財務報告の目的は、投資家の意思決定に資するディスクロージャー制度の一環として、投資のポジションとその成果を測定して開示することであ(2)」ることを、(財務諸表作成者を含む全ての)利害関係者は忘れてはならないと思います(3)

(1)現状、「ASBJでの議論は途上で導入時期など詳細は未定だが、大手行と違って人的資源などが限られる地銀への影響が大きいとの声がもっぱらだ。そのため、現時点では、①IFRSを適用した場合と同じ結果が得られるルール、②IFRSを出発点とした上で銀行の実務負担に配慮したルールの2つを開発する方向と」のことである。

(2)出典:討議資料「財務会計の概念フレームワーク」第1章の2。

(3)同じ第1章の11では、「ディスクロージャー制度において開示される会計情報は、企業関係者の間の私的契約等を通じた利害調整にも副次的に利用されている。また、会計情報は不特定多数を対象とするいくつかの関連諸法規や政府等の規制においても副次的に利用されている」と述べている。