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非財務情報を監査対象?

金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)は、有価証券報告書で企業が開示する環境や社会に関するサステナビリティ情報に対して、第三者による保証を求める制度の導入について検討を始めたそうです。出典:2024年2月19日付日本経済新聞電子版非財務情報も「監査」対象に 金融審、第三者保証を議論 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 

この点、「財務諸表の正確性を監査法人が監査証明するように、非財務情報の信頼性も確保する」ために、「保証の担い手は監査法人だけでなくISO認証機関などに第三者機関も含める方向で検討」し、「含める場合は、現在は監査対象外の第三者機関の監督のあり方なども検討課題となる」とのことです。しかし公認会計士には、公認会計士法2条1項業務(1)および2項業務の範囲(2)の定めがあります。したがって現状において、(公認会計士によって組織された法人である)監査法人に財務諸表監査以外の業務(3)を委嘱するのは難しいように思われます(4)

(1)同項は、「公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。」と定めている。

(2)同項は、「公認会計士は、前項に規定する業務のほか、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。」と定めている。

(3)例えば、非財務情報に関わる保証業務。

(4)一方、例えば、「会計士の倫理基準を手がける国際組織が、サステナビリティ情報にお墨付きを与える保証業務の提供者を守る倫理基準を策定する」としている。公認会計士制度について、見直しをしても良い時期を迎えているのかもしれない。