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ESGを巡る議論

日本経済新聞社と英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が、「モラル・マネー・サミット・ジャパン」を都内で開き、ESG(環境・社会・企業統治)や持続可能な社会の実現などをテーマに、気候変動対策や企業の情報開示、職場のジェンダーギャップまで幅広く議論したそうです。出典:2024年3月5日付日本経済新聞電子版企業、ESG戦略加速(モラル・マネー・サミット特集) - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ここで、主催者としてあいさつしたFT(のコラムニスト)が、「欧州ではESGの揺り戻しが起きている(1)」という認識を示したことを興味深く感じました。確かに近時、①米企業は(ESGを含む)多様性より収益性、②ハイテク株主導で日米の株高が続く中、世界の環境投資は減速と分断が鮮明といった見立て(2)があるようです。

このような状況において、「日本は一貫して対応していると評価」するFTの真意(思惑)は吟味する必要がありそうです。

(1)例えば、①短期的な業績ではなく、環境や社会に配慮した企業経営が必要だと主張していた仏食品大手ダノンの会長兼CEOが業績不振により解任されたこと、②欧州石油メジャーがしばらくは化石燃料に頼る考えを鮮明にし、化石燃料の生産を大幅に減らすという方針にも変化が生じていることが思い浮かぶ。

(2)出典:2024年3月5日付日本経済新聞電子版環境投資の減速・分断鮮明 ESG運用、初の資金流出 - 日本経済新聞 (nikkei.com)