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支配力基準

総務省はLINEヤフーに対する行政指導で、(究極親会社である)ソフトバンクに対して、LINEヤフーへの資本的な関与を強めることを検討するよう異例の口頭要請を行ったそうです。出典:2024年3月5日付日本経済新聞電子版LINEヤフー出資見直し、ソフトバンクに異例の口頭要請 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

良く知られているように、連結の範囲を決定する支配力基準(1)は、企業の意思決定を支配しているかどうかがポイントで、実態を踏まえた実質的な要件(2)に関する判断が求められます。この点、「一部システムの開発・運用・保守を依然として大株主にあたるネイバーに委託してい」るのであれば、技術面では逆に支配を受けているのかもしれません。一方、「ソフトバンクは(中間持株会社である)AHDの取締役7名のうち過半にあたる4人を送り込んでいる」のであれば、既に意思決定機関を支配しているように思われます。

本件、資本関係に着目し、資本的な関与を強めること(だけ)で足りるのか、支配力基準の趣旨に立ち返る必要があるかもしれません。

(1)企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(2014年11月18日訂正)、企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(2011年3月25日最終改正)。

(2)議決権割合(持株基準)だけでなく、財務上・営業上・事業上の関係が要件となる。前掲適用指針において、①緊密者・同意者の議決権、②役員・使用人関係、③契約関係、④資金関係、⑤その他事実関係が挙げられている。