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持続可能な監査体制のためには

上場企業の監査工数が増える中、公認会計士が慢性的に不足し、新規株式公開(IPO)監査に振り向ける余力が乏しくなり、ビッグ4と呼ばれる大手監査法人のシェアが2023年に初めて5割を割ったそうです。出典:2024年3月8日付日本経済新聞電子版IPO監査シェア、ビッグ4が初の5割割れ 会計士不足響く - 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、第1に、監査の担い手が不足していることは予てより指摘されています。第2に、「受け皿になっているのが準大手や中小の監査法人だ」とのことですが、近時、金融庁に業務改善計画を提出した法人もありました。第3に、監査法人の規模(や国際性)は確かに大切です。しかし監査法人は、公認会計士法に基づき会計監査を目的として5人以上の公認会計士で設立される法人です。したがって個々の公認会計士があっての話でしょうか。

幸い足元の公認会計士試験の志願者数は増加しているようです。しかし監査インフラは有限です。したがって持続可能な監査体制のためには、①規制当局においては市場(上場会社数)の見直し、②上場会社においては上場の意義の見直しが求められているように思います(1)

(1)この部分は、円谷昭一(2024)「コーポレートガバナンスの現在地」『企業会計』Vol.76 No.4を参考にしている。