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映画『青春』鑑賞

この映画は、中国出身のワン・ビン(王兵)監督によるドキュメンタリーです。

内容は、中国の織里(しょくり)という町の衣料品工場で働く若者の日常を、2014年から2019年にかけてカメラに収めたものです。織里は、上海を中心に大河・長江の下流一帯に広がる長江デルタ地域に位置します。しかし、①舞台となる工場は零細工場(個人企業)で大工場(大企業)ではなく、②若者の多くは農村部からの出稼ぎ労働者です。

そんな彼ら/彼女らは、長時間労働に低賃金かつ出来高払いという過酷な労働条件の下(1)、様々な悩みを抱えながらも(2)、明るく逞しく生きています(3)。ただ煙草を吸ったり音楽を聴いたりしながら(自由に)仕事が出来る環境を得ているとは、想像していませんでした(4)。この辺りが(質はともかく)量に支えられた中国の強さの源泉かもしれないと思いました。

なお上映時間は215分(3時間35分)という長尺です。しかし約20分のエピソードが9つのセグメントに分けて描かれていることもあり、彼ら/彼女らと同じ目線で、退屈することなく時間を過ごすことができました。

(1)おそらくそこでしか生きる術がない。

(2)例えば、①職場での人間関係や恋愛関係、②残してきた家族との関係。

(3)例えば、①裁縫技術の向上を目指す、②賃金交渉を行う、③新しい工場に移る。

(4)業後は、①スマホでのチャットやゲーム、②街に出ての外食など。