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配当金の返還と資本勘定の振替

JTは、①2023年8月にオランダの子会社と孫会社を合併させ、存続会社となった旧孫会社から配当8億ドルを受け取りましたが、②同年12月に同額を旧孫会社に返還しました。これによりJTは、単体利益が減り配当可能上限額も下がったため、③2024年3月の株主総会で、株主資本のうち配当可能額に含まれない資本準備金を、配当可能なその他資本剰余金に振り替える議案を諮り可決されました。

出典:2024年4月26日付日本経済新聞電子版JT1200億円配当返還「税負担なし」 国税当局が伝達 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

本件第1に、旧孫会社が8億ドル(という巨額)の配当決議を(僅か)4ヵ月後に取り消すのは異例です(1)。第2に、利益だけではなく資本剰余金を原資とする配当は、現行制度の下で認められています。

もとよりJTの行動はルールに反するものではありません。とはいえ、高配当銘柄として個人投資家からの人気(期待)を維持(・拡大)するためのリスク(とリターン)をどのようにとらえているのだろう?という素朴な疑問は生じます。

(1)JTはその理由を「グループ内の現金保有量の最適化等」と説明していた。