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映画『アメリカン・ユートピア』鑑賞

この映画は、元Talking Heads(1)のDavid Byrne(2)が2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」に基づき制作された同名のブロードウェイのショーを、ほぼそのまま映像化したものです。

2021年に日本で公開(3)された当時、「これを観て行動したくなった」という人が(周囲にも)いました。したがって一度じっくり観てみようとアマゾンでDVDを購入(4)したものを(今回ようやく)鑑賞しました。

映画の中でDavid Byrneは、アメリカが抱える様々な問題(5)を指摘しています。同時に(指摘にとどまることなく)、①当事者意識を持ち他人と連携しつつ変革の可能性を求めればアメリカを真のユートピアにすることは可能で、②そのために行動しよう、投票に行こうと呼びかけています。

鑑賞後、先ず観客が行動へ触発された理由が分かった気がしました。次に若い頃、①Talking Headsで一世を風靡し、②アカデミー賞まで受賞したDavid Byrneが、年をとっても(6)変われることを自ら示していることに感心しました(7)。最後にエンドロールで、改めて世界中の人々に「投票に行こう」と呼びかけるなど最後まで明確で具体的なメッセージを発信するこの映画は、(ライヴでありながら)ドキュメンタリーのようにも感じました。

(1)アメリカのロックバンド。結成は1974年、解散は1991年。

(2)Talking Headsではボーカルとギターを担当していた。坂本龍一、スー・ソンとともに音楽を担当した1987年の映画「ラストエンペラー」で、アカデミー賞作曲賞を受賞したことでも知られる。

(3)制作は2020年。

(4)日本語字幕版。

(5)移民や銃社会の問題、選挙における低投票率。

(6)David Byrneは 1952年5月14日、スコットランド生まれ。

(7)また、①David Byrneを含む12名の出演者全員が、同じシンプルな衣装を着て裸足の状態でポータブル楽器のみで演奏し、②ステージにオブジェはなく、衣装替えや紙吹雪・スモークといった演出もないシンプルなライヴゆえに、(MCでもあるDavid Byrneが)「本当に楽器を弾いているのか疑っている?」などと観客に問いつつ、(全員の)専門性と多様性をユーモアに包みながら暖かく紹介するシーンは興味深かった。