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大日方隆(2023)『日本の会計基準 Ⅱ激動の時代』読了

第1巻(Ⅰ確立の時代)に続いて、第2巻(Ⅱ激動の時代)を読了しました。こちらも勉強になりました。

第2巻の対象は、1980年代半ばから21世紀初頭の会計ビッグバン(1)までです。この時期は、(1986年に社会に出て以降)前の職場の経理部門で実務を担当していました。その間、2002年6月に海外勤務から帰国した際は、ASBJによる新たな会計基準が制定され始めた頃(2)でした。毎日右往左往しつつ、自らの能力(努力)不足を棚に上げて、なぜこのタイミングで(あたかも自分の帰国に合わせたかのように)各種の会計基準が制定されるのだろう?と疑問に思っていました(3)

この点、証券監督者国際機構(IOSCO)における一定のプレゼンスを維持してきた大蔵省(当時)が、そのプレゼンスを維持するために各種の会計基準制定を急いだというご指摘は興味深く、かつ腹落ちするものでした。また、COFRI(企業財務制度研究会)(4)が、当時の企業会計審議会の足りないところを補う役目を果たしていたとは思いもよらず、目から鱗が落ちました。

第3巻(変容の時代)も楽しみです。少し間を空けて、食らいつければと思います。

(1)会計ビッグバンは、企業会計審議会が、1997年3月に「連結財務諸表制度の見直し」を行い、2003年10月に「企業結合に係る会計基準」を公表するまでと位置付けられている。第1巻の対象は、1945年(企業会計原則)から1980年代半ば(証券取引法会計)までである。

(2)例えば、2002年2月に企業会計基準第1号「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準」が、同年9月には同第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」が公表された。

(3)疑問に思うだけで、じっくり考えたり調べたりすることはなかった(日々の業務に追われていたことを理由(言い訳)にしていた)。

(4)COFRIの出版物にはお世話になった。使い勝手が良く、信頼性も高いことから、実務(の現場)では欠かせなかった。